金銭消費貸借契約書は、お金の貸し借りを書面にしたもの
金銭消費貸借契約書は、お金を貸し借りしたことと金額や期限などの条件をあらわした書類です。これを簡単にしたものがいわゆる借用書です。
民法では、お金を払ってものを借りることを消費貸借といいます。お金を借りるのもその一種で、特に金銭消費貸借といいます。
契約は口頭で内容を確認し、お金を渡すことによって成立しますが、備忘と証拠のために書面にします。住宅ローン、銀行借り入れ、消費者金融などあらゆる融資の場面で作成されます。
一般的に記載されるのは次のような項目です。
・借りた(貸した)金額
・利息
・返済方法
・返済期限
・遅延損害金
・期限の利益喪失条項(別稿で詳しく解説します)
・借主(保証人)と貸主の署名・捺印
ソーシャルレンディングでは、借主と仲介会社が交わす
ソーシャルレンディングで金銭消費貸借契約書を交わすのは、借主と貸金業者である仲介会社です。実質的な貸し手である投資家は仲介会社と匿名組合契約書を交わしますが、借主と直接契約を交わすことはありません。借主と個人投資家が直接金銭消費貸借契約を結ぶと、貸金業法に抵触するおそれがあります。
契約書のひな形と約款は、仲介会社のホームページに掲載されていることが多いです。投資家だけでなく借り入れ希望者も常に募集しているためです。希望者は契約条件を確認して借り入れ申し込みを検討することができます。約款とは不特定多数の相手と契約を結ぶため、一般的な事項を書いたものです。
契約内容を見ることはできるのか?
投資家は借主と貸金業者の間で取り交わされた契約書を見ることができません。匿名組合契約の「匿名」とは、事業の相手方(この場合は借主)に組合員(投資家)に関する情報が伝えられないという意味です。同時に、投資家も借主の詳しい情報を知ることができません。契約書の内容も同様です。
うがった見方をすると、借主が支払う利息のうち、いくらが投資家の手にわたるかがわかりません(仲介会社のなかには手数料を明示しているところもあります)。高金利でリスクが高い案件なのにかかわらず、投資家の収益はわずかということも理屈の上ではありえます。
金銭消費貸借に投資家が関わることができないというのは、投資案件として募集した内容と実際の貸し付け内容を変えられてしまうというリスクもあります。2016年末に大手ソーシャルレンディング仲介会社に金融庁の調査がはいり、その後営業停止命令が下るという事件がありました。募集内容と異なり、自社のグループ企業に貸し付けていたためです。
ソーシャルレンディングは合理的な金融手段として、インフラの一端を担っていく可能性があります。このようなリスクも社会における課題のひとつとして関心を持ってみるのも面白いかもしれません。