集団投資スキーム

集団投資スキームは大人数で出資する仕組み

集団投資スキームとは、多数の出資者を募って資金を集め、運用・管理し、収益を分配する仕組みのことをいいます。ファンドとも呼ばれます。

資産運用型と資産流動化型の2種類があります。前者は投資するための資金を集めるもので、例としては投資信託やクラウドファンディングなどが挙げられます。後者はローン債権や不動産など売買しにくい資産を証券化して市場に流通されることによって、資金調達するために使われます。

法的な枠組みは投信法、SPC法、不動産特定共同事業法、会社法などさまざまな法律によって作られています。加えて、金融商品取引法(金商法)が募集と運用について包括的に規制します。

同法2条では第一項で有価証券を、第二項では有価証券ではないがそれに準じて扱うものを挙げています。一般的に前者は第一項有価証券、後者は第二項有価証券またはみなし有価証券といいます。

みなし有価証券のうち(金商法2条2項5号)に列挙されているものを一般的に集団投資スキームといいます。任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合などによる契約です。

集団投資スキームを用いて売り出される商品は「集団投資持分」といいます。

ソーシャルレンディングは金融商品取引法の規制も受ける

日本のソーシャルレンディングのほとんどは匿名組合契約によって行われます。そのため集団投資スキームにあたり、金商法の規制を受けています。ソーシャルレンディングは金商法上、「有価証券ではないが、それと同等に扱うもの」なのです。投資家は集団投資持分を購入していることになります。

有価証券を不特定多数に募集・販売するためには金融商品取引業登録をする必要があります。第一項有価証券なら第一種金融商品取引業、第二項有価証券なら第二種金融商品取引業です。ソーシャルレンディングの募集には第二種金融商品取引業登録を受けていなくてはならないのです。

ソーシャルレンディング仲介会社の会社概要などをみていると、第二種証金融商品取引業者であることが書かれています。貸し付けをするために貸金業登録をしている会社と金融商品取引業者を別会社にしていることもあります。ひとつの会社のなかで業務部と営業部を分けるようなイメージです。

集団投資スキームと投資詐欺

集団投資スキームは、時として詐欺的商品を売るために使われることがあります。有名なのは金商法成立前に起きた平成電電事件です。通信機器のオーナーを募集するという名目で、一般投資家からおよそ500億円を集めましたが、ほとんど返還されることはありませんでした。

現在は金商法が施行され、金融商品取引業者の有無や金融庁による警告があった業者などを調べることができます。あやしいと思う業者には手を出さずに、評判や業者登録などを調べてみましょう。