ソーシャルレンディングって儲かるの?高利回りなど4つのメリット

■高利回りだけではなく、分散投資にもなるソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングの魅力は何かと聞かれたら、高い利回りだと答える人は多いでしょう。年10%以上もの利率は少なくありません。株式投資などほかの投資をしている人は、リスク分散にもなります。

社会貢献性が高いのもソーシャルレンディングを含むクラウドファンディングの魅力ですが、今回は個人投資家にとって利回りに直結するような、実践的な部分を中心に解説します。

■ソーシャルレンディングの利回りはどれくらい?

ソーシャルレンディグの利回りは年3%~8%くらいが多く、なかには15%近い案件も少なからず募集しています。平均して6%前後といったところです。

株の配当は、よくて3%です。東京証券取引所によると、1部上場企業の株式配当の平均は、2000年~2016年までで最も高かったのが3.01%。株価は上下が激しいので、安定して得られる収益として期待できるのはこのくらいでしょう。

ここまで利回りが高いと、逆に怪しまれるかもしれません。有名な安愚楽牧場の利回りは3%でした。役員は虚偽の説明で投資を募ったとして実刑判決を受けています。低金利の時代に、もし元本保証でこのような高利回りをうたう商品があったら、おそらく詐欺でしょう。

ソーシャルレンディングは、わずかながら貸し倒れのリスクがあるため、利回りが高く設定されています。借り手は銀行融資より高い金利を払うかわりに、迅速な審査や自身に合わせた返済計画などのメリットを得ることができます。

銀行融資が難しいと判断された借り手にとっても、事業性カードローンの金利は20%程度なので、これと比較するとかなりの低利融資です。

事業者にとっては低金利、投資家にとっては高利回り、仲介会社は手数料がもらえる。3者にとってWIN―WINな関係が成り立っているのがソーシャルレンディングです。

■実質利回りはどうなる?投資するのに手数料はかかるのか?

投資経験のある人は、「その利回りって表面利回りでしょ?実質利回りは?」と思われるかもしれません。貸付先からもらう収入が表面利回り(総利回り、グロス利回り)で、そこから費用や税金を引いた残りが実質利回り(純利回り、ネット利回り)です。

手数料の考え方は仲介会社によって異なりますが、0が主流です。仲介会社は貸付利息から手数料を差し引いた利率を利回りとして募集するので、そこから別途費用がかかることはないのです。仲介会社によっては、貸付残高に対して1%程度の手数料が必要なこともあります。投資信託の信託報酬みたいなものです。

ほとんどの場合、募集内容に書いてある分配金はそのまま自分の収入になると考えていいでしょう。投資信託であれば信託報酬のほか、販売手数料(購入手数料のようなもの)と信託財産留保額(売却手数料のようなもの)もかかることがあります。実質利回りの計算が簡単なのもソーシャルレンディングのメリットといえます。

■できる投資家は、税金を含めた実質利回りを考える

手数料のような費用はかからない場合がほとんど。では、税金はどうなるでしょうか?これも金額によってはかかりません。

株式の場合は譲渡所得として、売却したときに税金がかかります。ソーシャルレンディングは何かを所有しているわけでなく、匿名組合契約にもとづいて出資をする代わりに利益の分配を受けるだけ。所得税の計算上は雑所得となります。雑所得は年間20万円までなら、申告する必要がありません。FXや先物取引の利益、本の印税などと合わせて20万円以下の人は、ソーシャルレンディングの利益に対する税金を収めなくてよいのです。

20万円を超えた場合は、20.315%の税金がかかります(所得税+住民税+復興所得税)。

5%で運用するとしたら、元本400万円までは無税というわけです。元本100万円~数百万円程度であれば、仲介会社が募集している分配金=表面利回り=実質利回りと考えていいでしょう。

■少額から投資が可能。リスク分散にも最適

最小1万円程度からの少額投資ができるのもソーシャルレンディングの魅力です。クラウドファンディングの特徴は、不特定多数の人と人をつなぐことにあります。数億円の資金を募集する案件でも、お金を貸したい人が大勢いるため、ひとりひとりの投資額は少なくて済むのです。10万円あれば、募集されているほとんどの案件に投資することができるでしょう。

債券や投資信託と違って中途解約できませんが、契約期間が1年未満の短期案件も多いです。ちょっとした余裕資金を運用するのにもいいですね。ボーナスが余ったから小遣い稼ぎに運用しよう、とか……。

少額投資ができるということは、分散投資ができるということでもあります。貸し倒れ(元本割れ)の実績はごくわずかといっても、リスクがあることは否定できません。さまざまな案件に投資することで、資金が全額なくなるのを防ぐことができます。

■株式投資とソーシャルレンディングを組み合わせてリスクヘッジを

分散投資は、何もソーシャルレンディングだけに限ったことではありません。株やFXなどと組み合わせることで、資産全体が目減りするリスクを和らげることができます。ソーシャルレンディングの利益は、株や為替とは違うところから発生するからです。

ソーシャルレンディングは理論上、個人でも借入が可能です。実際に日本での黎明期には、個人の借入を目的とする契約が多くありました。しかし貸し倒れが少なからず発生したため、現在の借入者はほとんど事業者となっています。そのなかでも多いのが、不動産事業です。

金融機関から融資を引いて土地やビルなどの不動産を購入し、賃料収入を得るのが不動産賃貸業です。ソーシャルレンディングでは、金融機関の代わりにお金を貸すのが個人投資家となります。住宅ローンの返済をしている人は、逆の立場になるわけです。

不動産賃料は、リーマンショックのように株価や為替などが大きく変動するようなときでも、比較的安定した収入を得ることができます。ソーシャルレンディングは間接的に不動産投資をしていることに近いので、価格変動リスクを減らすことができます。

しかも、自分が借入をしているわけではないので、最悪でも投資したお金を失うだけで、それ以上の損失はありません。

将来的な資産形成を考えている人にとって、リスクの低減は大きな課題です。ソーシャルレンディングや株式投資などさまざまな商品を組み合わせることで、解決できるかもしれません。

■利回り計算しやすく、少額からできて、資産形成に役立つ

ソーシャルレンディングのメリットについての解説を読んでいただきました。株や投資信託よりも実質利回りが計算しやすく、少額なら税金がかからない。数万円から投資できて、資産のリスク分散にも利用できる。このような4つの魅力があります。