トラストレンディングが虚偽の表示で1ヶ月の業務停止命令

新着:2018年12月7日
追記:2019年1月16日 NEW!

新着:2018年12月7日

2018年12月7日にNHK NEWS WEBで、「ソーシャルレンディング会社 うその説明で投資勧誘」の記事が出ました。(現在、記事は削除されています)

証券取引等監視委員会の「エーアイトラスト株式会社に対する検査結果に基づく勧告について」が記事のネタ元です。

ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為というのが問題となっています。
以下の2点がキーポイントです。

対象ファンド(案件):債権担保付ローンファンド(139号~146号、155号~158号)
https://www.trust-lending.net/projects/00155/

スキーム図において、復興庁や環境省等の名称を用いて、あたかも官公庁等が関与して行う除染事業の支援業務を行う目的で、本債権ファンドで集められた資金が貸付けられるかのような表示をしている。

しかしながら、該当する官公庁等が関与して行う除染事業は存在せず、このため、本債権ファンド借入人に対しては、上記の取得勧誘時の表示のような、官公庁等が関与して行う除染事業の存在及び実行を前提とした資金使途のための貸付けは当初から行われていない。

対象ファンド(案件):動産担保付ローンファンド(163号、165号~168号、170号~174号)
https://www.trust-lending.net/projects/00170/

スキーム図において、当該大手企業との業務提携等が予定されている旨を記載するなど、あたかも本動産ファンド借入人において、実証実験終了後に、当該大手企業との業務提携等が予定され、これにより得られた収益を原資として返済が行われるかのような表示をしている。

しかしながら、実際には当該大手企業との業務提携等の予定は存在せず、このため、本動産ファンド借入人に対しては、当初から、上記の取得勧誘時の表示のような、当該大手企業との業務提携や、当該業務提携に係る事業による収益が返済原資となることなどを前提とした貸付けは行われていない。

官公庁等が関与して行う除染事業、大手企業との業務提携、投資家の安心を誘うような表示で、お金を集めていたのが問題視されているようです。

虎の威を借る狐がびっくりする表記内容ではありますが、別案件に資金が流用されていたとか資金をロストしたとか担保価値がデタラメだとかという問題ではなさそうです。

早々に収束する内容だと思います。

追記(1):2018年12月10日:分配金遅延

通常よりも分配金の振込手続きに時間がかかり遅延したとのお知らせ。
個々の案件で遅延が発生しているのではなく、単なる事務手続きによる遅延のようです。
詳細は、こちら

追記(2):2018年12月11日:新規会員登録手続きの一時休止

当社は、本年12月7日付、「証券取引等監視委員会による勧告について」にてお知らせしたとおり、証券取引等監視委員会から指摘を受けた2つのプロジェクトにかかる貸付先に対して、関係者へのヒアリング、事業実態の確認及び進捗等の調査(以下、「本件調査」といいます。)を開始しております。

当社は、2つのプロジェクトにかかる各ファンドの募集要項に基づき、ファンド資金での貸付を実行しておりますが、本件調査は、当該貸付先から提出を受けた審査資料はもとより、当社の各ファンドの募集にかかる事務プロセス(会員登録手続きを含む)の再検証も含みます。

そのため、本件調査が完了するまでの間、新規会員登録手続きについては一時休止とさせていただきますので、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

トラストレンディングHPのお知らせから引用 (PDF)

追記(3):2018年12月14日:該当記事が削除

理由はわかりませんが、NHK NEWS WEBの該当記事が削除されていました。

追記(4):2018年12月14日:1ヶ月の業務停止命令

関東財務局から「エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について」がアナウンスされました。

内容は、1ヶ月の業務停止命令と5件の業務改善命令です。

以下、トラストレンディングのHPに記載されている内容になります。

当社に対する行政処分について

本年12月7日、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、当社に行政処分を行うよう勧告がなされて、本日、下記の行政処分を受けました。
当社では、この度の行政処分を厳粛に受け止め、今般の法令違反について、責任の所在を明確にするとともに、貸付審査、ファンド募集、運用及び管理(モニタリングを含む)に至る全ての業務について見直し、金融商品取引業務を適切に行うための業務運営態勢の再構築に全社をあげて取り組んで参ります。
投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。


(1) 業務停止命令
金融商品取引業のすべての業務(顧客取引の結了のための処理を除く。)を平成30年12月14日から同31年1月13日まで停止すること。

(2) 業務改善命令
① ファンド募集にかかる事務プロセスを網羅的に検証したうえで、今般の法令違反が発生した原因及び業務運営態勢上の問題点を究明すること。また、今般の法令違反について、責任の所在を明確にするとともに、金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢及び業務運営態勢を再構築すること。

② 募集したファンド全件について、取得勧誘及び運用・管理の状況等(貸付先の資金管理の実態や資金の使途を含む)を精査したうえで、投資者保護に必要な対応を図ること。

③ 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に、適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。

④ 顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。

⑤ 上記①から④までの対応について、平成31年1月11日までに、進捗状況及び対応結果について報告すること。

引用元(PDF)

簡単に言うと、虚偽の表示で資金を集めたていたと行政が判断したわけです。

投資家の中には、該当案件のキャンセルや払い戻しを希望する人もいると思うのですが、該当案件のキャンセルや払い戻しの話は現時点では聞いていません。
虚偽の表示が意図的だったのかどうかは別として、なんらかの顧客対応をするべきではないかと思います。
既に貸し付けが完了して運用に入っているので、無理なんだろうなとも思いますが…。

案件のテクニカル的な部分での虚偽表示ではなく、「官公庁等が関与して行う除染事業、大手企業との業務提携」といった安心感を匂わせる為の虚偽表示なので、該当案件の投資家が、大騒ぎしなければ収束していくと思われます。案件の安心感は格段に下がりますが…。

新着:2019年1月11日

トラストレンディングのHPに、業務改善命令に基づく改善対応策についての案内が出ました。

業務改善命令に基づく改善対応策について

当社は、平成30年12月14日付、業務改善命令に基づく改善対応策等を、本日、関東財務局へ報告いたしました。
今後、当社では、外部専門家からの評価・提言を受けながら、改善対応策等に順次取り組むことによりガバナンスを強化し、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様からの信頼回復に全社をあげて取り組んでまいります。
尚、上記の取り組みを継続することに伴って、業務停止命令の期間(平成30年12月14日から同31年1月13日まで)以降も、自主的にファンドの募集や新規会員登録手続きを休止することと致しましたので、以下の通りご案内申し上げます。

【休止する業務】
・ファンドの募集
・新規会員の募集及び登録

【通常通りに行う業務】
・運用中ファンドの貸付先からの利息金(遅延損害金等を含む)及び元本返済の受領(回収業務を含む)
・会員への配当金等の分配
・会員へのファンドにかかる各種報告書の交付(運用報告書、取引残高報告書、年間取引報告書)
・会員向けの Web サイト(マイページ)の運営
・会員登録情報の変更手続き

投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

引用元(PDF)

引き続き、ファンドの募集、新規会員の募集及び登録が休止したままの状態のようです。